持ち家か賃貸か。年金生活で選ぶならどちらが“本当に得”なのか?

節約

「この家に、ずっと住み続けるべきだろうか」
「それとも、思い切って身軽な暮らしに切り替えた方がいいのか」
——年金生活が目前に迫ると、多くの人がそんなふうに考え始めます。

住宅ローンを払い終えた“持ち家”が安心なのか。
それとも、フットワーク軽く暮らせる“賃貸”の方が柔軟でいいのか。
お金、暮らし、将来のこと……どれを優先するかで答えは変わってきます。

この記事では、「年金生活」という限られた収入の中で、持ち家と賃貸のどちらがより節約になり、そして安心できるのか。
数字だけでなく、人としての“生き方”にも触れながら、じっくりと比較していきます。

年金生活、最初に立ちはだかる“住まい”という選択

定年を迎えるとき、いちばん現実的に突きつけられるのが「これから、どこで、どう暮らすか」という問題です。
現役時代にはなんとなくで済ませてきた住まいの問題が、一気に「生活の土台」になってきます。

たとえば、今の家に住み続けるとしたら、築30年を超える持ち家に今後いくらメンテナンス費用がかかるのか。
逆に賃貸へ引っ越すなら、家賃を払い続ける体力が自分にあるのか。

答えはひとつではありません。だからこそ、視野を広げて考える必要があります。

費用・安心感・柔軟性。大切なのは“バランス”

「お金さえかからなければ、持ち家の方がいいに決まってる」
「賃貸は自由だけど、高齢になると借りられなくなるって聞くし…」

このように、どちらにも一長一短があります。
そこで今回は、次の5つの視点から、持ち家と賃貸をフェアに比較してみます。

  • 1. 初期費用と導入コスト
  • 2. 月々の出費(固定費)
  • 3. 将来的にかかるメンテナンス費用
  • 4. 身動きの取りやすさ(柔軟性)
  • 5. 精神的な安心感と老後リスク

数字で見る比較:持ち家 vs 賃貸の現実

比較項目持ち家賃貸
初期費用購入時に数千万円+登記費用など敷金・礼金・引越し代(数十万円)
月々の支出固定資産税・管理費・修繕積立金など家賃・共益費・更新料(2年ごと)
10年でのコスト総額修繕次第で300万〜500万円程度家賃6万円×12ヶ月×10年=約720万円
老後リスク介護・バリアフリー対応の費用がかさむ高齢者入居不可の物件もあり得る
安心感終の棲家になりうる安心感あり契約更新・退去リスクがゼロではない

こんな人は持ち家向き・賃貸向き

▶ 持ち家が向いている人

  • すでに住宅ローンを完済している
  • 修繕費用をまかなえる余力がある
  • 今の地域で一生暮らすと決めている
  • 子どもに資産として住まいを残したい

▶ 賃貸が向いている人

  • 将来、住み替えや施設入居の可能性がある
  • 持ち家の管理・修繕が負担に感じる
  • 相続や不動産処分に悩みたくない
  • 「身軽に暮らす」ことを大事にしたい

よくある質問(FAQ)

Q. 高齢者でも賃貸は借りられますか?

最近は「高齢者歓迎」の物件も少しずつ増えています。
特に、UR賃貸やサービス付き高齢者向け住宅などは保証人不要のケースも多く、年金収入があれば十分対応できることもあります。

Q. 持ち家の修繕費ってどれくらいかかるの?

築30年を超えると、屋根・外壁・水回りなどのリフォームに100万円単位で費用が発生します。
定期的に小まめに直してきた家なら費用は抑えられますが、まとめて修繕となると大きな負担になります。

Q. 賃貸の家賃が払えなくなったら?

万が一、家賃が厳しくなった場合でも、市町村によっては家賃補助や公営住宅への入居支援制度があります。
早めに情報収集し、相談機関にアクセスすることがカギです。

まとめ・あなたはどちらを選びますか?

持ち家か、賃貸か。
どちらにも確かなメリットがある一方で、年金生活という現実が、それぞれの選択肢を厳しく見つめ直させます。

お金だけを見れば、ローンを終えた持ち家は節約面で強い。
けれど、身軽に動きやすい賃貸も、暮らし方によっては“自由”という大きな価値があります。

正解はひとつじゃありません。
あなた自身がどう生きたいのか。これからの10年、20年をどう過ごしたいのか。
その問いに、住まいはきっと寄り添ってくれるはずです。

「今の家に残る」も、「賃貸で暮らし直す」も、どちらも立派な選択。
迷っているなら、少しだけ静かに、自分の心に聞いてみてください。
“どんなふうに老後を暮らしたい?”と。

総務省統計局「家計調査年報」:https://www.stat.go.jp/data/kakei/

国土交通省「住生活基本計画」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000007.html

独立行政法人住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」:https://www.jhf.go.jp/about/research/

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